こんにちは!
今回は車両紹介です。
東上線には様々な形式の車両が活躍していますが、その中でも10030系という車両をご存じでしょうか?
↑
10030系
1980年代の後半以降に製造され、現在は車齢がおよそ30年程度と、東武の中でも中堅の形式となってきた形式です。この形式には更新車と未更新車の2つの形態が存在します。上の写真の形態は未更新車です。前面のライトがハロゲン灯であったり、行先表示器が幕式であったり、スカートが設置されていなかったりと、登場時の姿を現在まで踏襲している形態です。
↑
更新車
一方で、更新車は雰囲気が大きく変わっています。ライトもHID灯に更新されている他、行先表示器もフルカラーLEDに。スカートも設置されました。また、車内にも大きくメスが入っており、床材の交換、パッとビジョンタイプのモニターの設置、モケット交換など大規模な更新が行われています。
このように二つの形態が存在します。これらの更新は、東上線用の車、スカイツリーライン用の車、アーバンパークライン用の車それぞれに行われているのですが、どの路線の車両も大多数の車両は見た目・車内の更新は行われていても、床下機器の更新は行われていません。(10080型は除く)一方で、東上線にはたった2編成だけ、床下機器の更新まで行った、まさしく完全体の更新車が存在します。今回はそんな完全体更新車の紹介をしていきたいと思います。
完全体更新車の編成番号
まずは、VVVFの車両の編成番号を紹介します。VVVFの車両の編成は、11032Fと11639F+11443Fの2編成です。3編成ではないの?と思われるかもしれませんが、11639Fと11443Fは東上線では、それぞれ片方の運転台が撤去された状態で、完全な10両固定編成として活躍していますので、1つの編成とみなしています。
↑
11032F
この2編成がVVVFとなっています。11032Fは2013年、11639F+11443Fは2014年にそれぞれ更新が行われました。
これらの車両は外装や内装に関しては他の10030系の更新車と全く同じ内容となっており、通常の更新内容に加え、床下機器の更新も行われているというわけです。ちなみに、通常のリニューアル工事は他の車両と同じく、津覇の工場で行われましたが、機器更新に関しては南栗橋で行われており、それぞれの更新が別の工場で行われるという面白い状況になっています。
これらの10030系には日立製のIGBTのVVVFが使われています。日立製のIGBT VVVFというのは、60000系で採用されています。そのため、この車両に乗っていると60000系と似た音が聞こえてきます(笑)乗ってみるとなかなか不思議なものですよ。
— てつとお-3 (@Gqk7wpc30x0V6L9) 2023年3月28日
↑
音を聞きたい方は上の動画をご覧ください。
それでは、なぜ2編成だけVVVFへの更新が行われたのでしょうか。この点について考えたいと思います。この2編成だけがVVVFに更新された理由については公式での発表は行われていませんので、あくまでも推測で判断するしかないのですが、有力な考えというのは床下機器の部品取りという理由です。10030系に使われている制御方式は界磁チョッパとなっています。何度も紹介した通りですが、チョッパの部品は枯渇してきています。その予備ストックを確保するために、2編成分のチョッパ制御を完全に取ってしまい、取った部品を予備ストックとしたと思われます。こういった、一部の編成のみ機器更新を行うという手法は、部品取りを行いたい場合に一番お金をかけずにできる手法です。こういった方法でわずかながらもチョッパ制御の部品取りを行ったものと、そのように考えることが出来るでしょう。
このように10030系にはわずか2編成のみVVVFの車両も存在します。この車両に乗車した時はぜひ音に注目してみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました!