こんにちは!
今回も熊本電鉄に関する記事を書いていきたいと思います。
先日もお伝えした通り、熊本電鉄には新たに1000形1012Fが追加で導入されることが発表されました。2022年には既に1009Fが1編成譲渡されており、2編成目の導入となります。そんな1000形ですが、中古車両の中でも若い車両というわけではなく、1009Fに関しては既に車齢40年を突破している車両となっています。1012Fに関しても来年には車齢40年と突破することとなっており、既に導入されている01形や03形よりもかなり古い車両となっています。この形式は6000形の置き換え用の車両として導入されており、1009Fが置き換えた編成は6231A-6238Aとなっていますが、この2編成間の車齢の差は7年程度と大きな差はありません。一見、あまり良い買い物ではないように見える静岡鉄道の1000形ですが、なぜ熊本電鉄はこの車両の導入を決めたのでしょうか。今回はこのことについて考えていきたいと思います。
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元静岡鉄道1000形1009F
まず考えられる一つ目の理由としては、あまり改造することがなく導入できるという点が挙げられると思います。あまり改造をしなくて済む理由には、静岡鉄道と熊本電鉄の特徴がとても似ているという点が挙げられます。どういった点が似ているのかと言うと、電圧です。実はこの2鉄道では、JRの直流区間など多くの鉄道で使われている1500Vよりも低い、600Vが採用されています。通常、1500Vが使われている路線から熊本電鉄に車両を転用する場合、降圧改造が必要となります。しかし、静岡鉄道では600Vが採用されているため、この改造が必要ないわけですね。こういったことから、必要最小限の改造で済ませることが出来るという点が、静岡鉄道1000形が評価された点なのではないでしょうか。
続いての理由としては、18m車体である点でしょうか。近年、熊本電鉄では導入車両の車体長は18m車体以下の車両に揃えられています。(01形が16m,03形が18m)どうして18m車体以下の車両が重宝されているのかというと、熊本電鉄の全路線に入線できるからです。熊本電鉄は藤崎宮前~御代志間、北熊本~上熊本間の二つの形態に分かれていますが、この運行形態のうち、北熊本~上熊本間には20m車体の車両は、線路設備の都合上入線できません。そのため、20m車体の都営6000形はこの区間では営業運転が行われておらず、全路線に入線できる東急5000系・南海200形・01形・03形などとは違い、藤崎宮~御代志間のみとなっています。しかし、1000形は18m車体ということで、この車両は全路線に入線することが出来ます。この点は大きなメリットでしょう。01形や03形と同じように活躍できる点、この点もこの形式を導入するメリットであると思います。
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元都営地下鉄6000形6111A-6118A
他にも、予備車的な立ち位置の車両であるため、あまり運用に就かなくても良いという点も車齢が高くても導入すると判断した理由かもしれません。熊本電鉄では最低でも5編成あれば運用が回るようになっており、現状だと01形と03形だけでも運用は回せるようになっています。そのため、1000形は予備車的な立ち位置となっており、既に譲渡された1009Fもあまり頻繁に運用には就いていません。運用に入る頻度を落として予備車的な立ち位置となれば、走行距離があまりかさむこともなく、長い間使えると判断したのかもしれませんね。また、首都圏で活躍していた車両よりも静鉄の電車は過酷な環境での活躍ではなく、状態がよかった可能性もあるのではないかと思います。少なくとも三田線の6000形よりはかなり状態は良いものと思われます。
考えられる理由はこのようなところでしょうか。特に一つ目の最小限の改造で導入できるという点と18m車両であるという点はかなり評価のポイントになっていると思いますよ。メインで活躍させる予定の車両たちにはお金をかけて改造し、予備車的な車両は最小限の改造で済ませるという判断はかなり合理的かもしれませんね。今後も運用に就く頻度は少ないかもしれませんが、長く活躍できるといいですね。
最後までご覧いただきありがとうございました!