こんにちは!
今回は京成電鉄に関する記事を書いていきたいと思います。京成電鉄には様々な形式が所属していますが、その中でも今回は1990年前半誕生組の3400形と3700形を扱っていきたいと思います。まずは下の写真をご覧ください。
この写真には左から3700形と3400形が載っています。写真を見ても分かる通り、この二形式の前面は非常に似ていますよね。実際にほぼ同じ設計で作られた車両となっており、誕生時期も3700形が1991年、3400形が1993年と、ほぼ同時期の設計です。では、なぜ姿も製造年も似ている両形式が同じ形式とはならず、二形式も誕生したのでしょうか?今回はこのことについて扱ってみたいと思います。
二形式の相違点
まずは、形式が分かれた理由の前に相違点を列挙していきたいと思います。
まず、車体の相違点ですが、大きな違いはたった一つ。ステンレス製か鋼製かです。3700形がステンレス製、3400形が鋼製です。1991年時点では他社車両も含め、ステンレス製が主流となっていたので、3700形がステンレス製で落成したのは当時のスタンダードと言えると思います。3400形は、時代に少々逆光したような形になると思います。現在では行先表示器や前照灯などの違いで顔の雰囲気もかなり異なりますが、こちらは後に更新されたか否かの違いですので、製造段階ではほぼ相違はありませんでした。
続いて制御機器についてです。こちらも二形式では大きく異なります。3700形がVVVF(GTO)、3400形が界磁チョッパとなっています。3400形のほうが後に落成したにも関わらず、3700形よりも古い制御装置が用いられていますね。そのほか、台車やブレーク類も細かいので型の記載は控えますが、異なったものが使われています。現在ではこの差が影響して、3700形は更新も行われ現在も全編成が現役なのに対し、3400形には更新が行われず、廃車も発生しています。
大きな違いはこれぐらいかと思います。このような差異があることが分かったと思いますが、それではなぜこのような差が生まれたのでしょうか。答えは単純なもので、3400形は旧型車両の再利用を目的として作られた車両であるからです。
詳しく書いていきますと、3400形は、初代スカイライナーのAE型の床下機器を生かすために誕生した形式です。実は3400形の床下機器はほぼすべてが初代AE型からの流用品なのです。初代AE型という形式はスカイライナーの一番最初の形式で1973年に誕生しました。その後、京成の看板特急として活躍するのですが、その活躍期間はあまり長くはなく、1993年には全廃となってしまい、およそ20年前後で引退を迎えてしまいました。車体に関しては劣化が進んでいたようですが、20年程度ならば足回り機器はまだまだ使える状態でした。そんな状況で足回り機器まで廃棄してしまうのは勿体ない、そこで誕生したのが足回りのみを流用した3400形というわけですね。当然ながら、流用したのは足回りのみで、車体は完全新造となっています。そのため、3400形は当初から足回りも含め、完全新造で作られた3700形と違い古い機器が使われているのですね。3400形と3700形にはこういった明確な違いがあるので、見た目や製造年が似ていても形式が分けられたというわけです。
ここで気になるのはなぜ3700形はステンレスなのに、3400形は鋼製なのかということではないでしょうか。車体は完全新造で共通設計ならば、3400形もステンレスで作ればよかったのではないかと思われるのではないでしょうか。これには製造工場の違いが影響しているものと思われます。3700形に関しては、完全に新造なのですべての車両が日本車輛や東急車輛といった車両の製造会社にて新造されました。一方で3400形は大栄車輌という、3400形の車体新造以前は車両の更新などを中心業務としてきた、割と小さな車両工場にて車体が新造されました。(ケーブルカーなどで車体新造の実績はあり)そのため、当然ながらステンレスでの車両実績はありませんでした。ですので、当時の大栄車輛でステンレス製の車両を作る技術が無かったという可能性が高いと思われます。こういった車両工場の違いが車体の違いにも影響しているのでしょう。
このように3400形と3700形は見た目は似ていても、車体の性質から走行機器、製造工場まで大きく異なっていることが分かると思います。そもそも3400形は初代AEの流用ということで、あまり長く使う事を前提としていないということが、車体を鋼製で作った時点で分かるのではないかと思います。そんな車両が製造から30年近く残って、更にSR無線まで取り付けてこれからもつかう気満々なわけですから、3400形は本当に凄いと思いますよ。おそらく少なくともあと数年は活躍するのでしょうから、3400形の今後にも注目していきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!