てつとお(ポケモンガオーレ、アニポケ、鉄道)のブログ

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主に鉄道記事、アニメ感想を書いています。

【短命&ラストラン中止】651系 伊豆クレイル 不運の観光列車を振り返る


こんにちは!
今回は最近注目されている651系に関する記事を書いていきたいと思います。
今から約3年ほど前まで東海道線小田原駅から伊豆急行線伊豆急下田駅まで、651系を改造した観光列車、「伊豆クレイル」が運行されていました。


651系 伊豆クレイル

見た目はピンクと花柄のかわいらしくも高級感のあるデザインです。車内では料理やお菓子も味わえるなど、女性客をターゲットとしたおしゃれな観光列車として活躍していました。そのコンセプト通り、女性客に非常に人気な車両で、伊豆の旅を盛り上げました。
デビューは2016年7月。もともとは高崎線特急のあかぎなどで活躍していた651系1000番台のうち、付属編成の4両編成の車両を活用し、観光列車に再改造され、誕生しました。高崎線特急では2014年の651系導入後、1年間のみ11両編成で運行されていたことがあり、その際に活用されていた車両が余っていたため、その余剰車両を活用したという形です。付属編成は3編成存在していましたが、そのうちOM301編成が国府津車両センターに転属し、伊豆クレイルに改造されました。転属・伊豆クレイル改造後はIR01編成を名乗り、観光列車として活躍しました。



そんな、余剰車両を活用した伊豆クレイルですが、車内外共に徹底的な改造が施されていました。
まず外装は、先述の通り、ピンク色でたくさんのお花があしらわれたデザインとなっています。ターゲットが女性という事で、とても高級感あふれる外装ですね。一方で、車体下の651系のチャームポイントともいえる金色の細帯は残されており、むしろその細帯を生かし、651系らしさも取り入れたデザインとなっています。

車内についても徹底的に改装されています。
1号車や3号車はもともとの座席は完全撤去の上、グループ客向けの個室としても使えるようなボックス席が取り付けられていました。1号車には海側を向いた座席も備わっていました。


3号車の個室風ボックス席(カーテンの仕切りで通路側からの視線をシャットダウンすることができます)

一方で、4号車はもともとの651系の座席をモケットなどを張り替え、そのまま再活用した内装となっています。あかぎ時代は通常の座席でしたが、転用に際してグリーン料金を取るようになっており、ちょっと物足りないグリーン席といわれていました(笑)伊豆クレイルは快速として走っていたため、おそらく18きっぷ乗車を防ぐための措置なのではないかと言われていましたね。しかし、おしゃれな内装なのは変わりなく、もともとの座席が快適なので、過ごしやすい車内になっていたと思います。1・3号車の乗車には食事とセットでの申し込みが必要でしたが、4号車は指定席券売機で購入することが出来、気軽に乗れる号車となっていました。

2号車は1両まるまるのフリースペース。1・2・4号車の客は利用することが出来ます。売店があり、お土産や食べ物を買うことが出来ました。4両編成なのに1両まるまる売店にしてしまうというのがなかなか凄いなと感じます。

そんな非常に豪華な観光列車でしたが、この列車、長くは活躍しませんでした。デビューから4年も満たない2020年3月に引退を迎えました。その後、ラストランさえも行われず、定期運用の終了の3月のタイミングでひっそりと引退し、そのまま同年10月には廃車となってしまいました。実はラストランの計画自体はあったのです。同年6月28日にラストラン運行の予定があった他、4月4日にはラストランを前にして初となる相模線始発の伊豆急下田行ツアーの計画もありました。しかし、2020年前半というのはまさしくコロナ禍全盛期。コロナ禍で様々なイベントが中止となる中、この列車もその煽りを受け、ラストランは中止になってしまいました。ラストランが中止となってしまい、更に短命ということで非常に不憫な観光列車だと思います。

そんな伊豆クレイル、なぜそんなにも短命であったのでしょうか。公式では老朽化が原因と言われていました。確かにその側面もあると思います。新造から30年程度が経っていた車両であるので、老朽化が進んでいないわけはないと思います。そうはいうものの、現在まで高崎線では651系は現役です。メンテナンスを行えば、少なくとも他の651系高崎線特急撤退までは、維持もそこまで困難では無かったはずです。では、なぜ引退したのでしょう。老朽化以外の理由は明かされていないので、ここからは推測で考えるしかありません。最も考えられる理由がサフィール踊り子の誕生です。





サフィール踊り子

サフィール踊り子とは2020年3月に誕生した、東京~伊豆急下田間を結ぶ全席グリーン席の豪華な特急列車です。このサフィール踊り子も、伊豆観光をターゲットとし、個室があったり、車内で麺が食べられたりするなど、伊豆クレイルと性質が似た特急列車となっており、この列車に実質的に置き換えられる形となってしまったという可能性が高いと思われます。そもそも、伊豆クレイル自体がサフィールを開発するにあたっての試作品的な要素もあったのではないかと言われており、伊豆クレイルはあくまでも「本格的な観光列車」の前段階の列車、そういった位置づけの列車であった可能性もあります。その他にも、伊豆の観光列車には「THE ROYAL EXPRESS」も存在しますので、伊豆クレイルも残存するとなれば、観光列車は3つも存在することになります。そこまでは不要とJRも判断し、伊豆クレイルは廃車に至ったと、そういった側面もあったのでしょう。そもそも伊豆クレイルは誕生段階から長く走らせることは想定しておらず、あくまでもサフィールデビューまでの列車である。そういった位置づけで開発された列車であるのかもしれません。

このように、短命で活躍が終了し、なおかつラストランまで中止となってしまった伊豆クレイル。非常に不運な観光列車ではないかと思います。様々な歴史のある651系。こういった珍しい車両がいたということをお伝えできればと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!