こんにちは!
今回は少し前の話になりますが、2022年のダイヤ改正に関する話題を扱っていきたいと思います。
2022年改正では、多くの路線において大幅な運用削減が行われました。特に山手線などは休日の余剰数がものすごい数になっているようです。こういったことから、ダイヤ改正前には、余剰廃車や転属が発生するのではないか?という噂が流れたこともありましたが、結局のところ、現時点でどのぐらいの余剰廃車・転属が発生しているのでしょうか。まず、余剰に伴う他線転属は1編成も行われていません。一方で、余剰廃車は発生しています。余剰廃車となった車両は以下の通りです。
高崎車両センター 211系 A2編成
大宮総合車両センター 651系 OM202編成
今年の改正、多くの減便が行われたにもかかわらず、余剰廃車はわずかこれだけです。この辺りが、関東の大手私鉄と違うところですね。今年は大手私鉄でも多くの減便が行われましたが、それぞれ減便が行われた鉄道では、多くの余剰廃車が発生しています。最も顕著なのが、西武鉄道でしょう。2000系の廃車が進んでいます。そのほか、東武・小田急なども進んでいます。それではこれらの鉄道とJRの違いはなんでしょうか。そのあたりを考えてみたいと思います。
まず、一つは他社に比べ、車両数を減らすメリットがJR東日本はあまり大きくないことが挙げられると思います。どういうことかと言いますと、JR東日本の検査体系の問題です。JR東日本では209系以降の車両に新保全体系(E235系以降はモニタリング体系)を採用しています。この検査体系は、検査周期を従来のような前回検査からの経年で決めるのではなく、走行距離によって決める検査体系のことですね。現在JR東日本で活躍している車両のほとんどが新保全体系(モニタリング体系も)の車両となっているので、運用に対して編成数が過剰配置されていても、運用に入れる頻度を落とせば、検査期限を延ばすことが出来ます。検査期限を延ばすということは、長期的に見ると検査費の節約となります。この新保全体系を採用していることで、検査費を節約できるという点は大きなメリットでしょう。逆に今回廃車となった211系や651系はいずれも新保全体系の対象ではありませんので、休車措置を取らない限り、運用頻度を落とすだけでは検査期限を延ばすことはできません。こういったことから、過剰配置のメリットが無い形式なんですね。そういった形式からは廃車が発生しています。もちろん旧型車両ということで、部品ストックも面も非常に大きかったのでしょうが、新保全体系の対象か否かも大きく働いていると思われます。新保全体系はJR東日本の減便措置に非常に有効に働いているものと思われます。こういったことから、新保全体系において、主要路線での編成数を削減するメリットがあまり大きくないため、当然地方路線などへの転属の動きも起こらないことになります。そうなると、最終的には地方の旧型車両も含め、廃車となる編成数は少なくなると、こういったからくりであまり余剰廃車が発生していないのではないかと思うわけです。
そして中途半端に首都圏で余剰となった車両を集めて、地方へ転属させてもメンテナンスの手間がかかるという理由もあるでしょう。例えば、山手線のE235系は余剰がたくさんありますが、どこかの路線の形式を完全に置き換えられるほどの余剰は発生していません。そうなると、仮に他線に転属した場合、もともとの形式とE235系の二形式のメンテナンスを行わなければならなくなります。これは非常に手間のかかることでしょう。中途半端に転属させても、結局は中途半端にしかおきかえられない、ならば過剰配置を続け、1編成あたりの検査期限を延ばし、検査費を節約するほうが得策であると、そう判断されている可能性も高いと思いますね。
JR東日本において余剰廃車が発生しない一番のポイントはやはり新保全体系なのではないかと思います。結局のところ、205系、211系、651系、719系辺りの非VVVF車が活躍している路線以外は、すべて新保全体系なので、編成数を減らさなくとも、過剰配置のメリットがあるのですね。ところが旧型車を抱えている西武や東武などは、当然それらの車両を過剰配置するメリットはないわけですから、こういった動きの違いが発生するのもうなずけるところかと思います。
そのほかに考えられるとしたら、JR東日本が運行本数をコロナ禍以前に戻す可能性を完全に捨てきれていないという点もあるのかもしれませんね。仮に需要回復した時に編成数が足りなくなると困るので残している、こういった理由もあると思います。
いずれにしても上のような複合的な判断で、現在廃車や転属の動きはあまり起こっていないものと妄想してみます。
最後までご覧いただきありがとうございました!