こんにちは!
今回はJR九州の気動車に関する記事を書いていきたいと思います。
今回扱うのはキハ31という気動車です。
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キハ31
キハ31とは1987年にデビューし、23両が製造された気動車です。1987年当時はまだ国鉄時代で、この気動車も国鉄時代に開発された気動車でした。当時、分割民営化がすぐに差し迫っており、国鉄は経営悪化の可能性のあるJRへの「置き土産」のような形で、様々な新型車両を開発していました。今回のキハ31もそうですし、JR四国や北海道のキハ32やキハ54などもそういった形式に当てはまります。そんな置き土産グループのうち、北海道と四国のキハ32・54はいまだに活躍を続けています。しかし、キハ31に関しては2019年をもって営業運転を終了し、現在は一両も残存していません。更に、2019年まで三角線で走っていたキハ31を置き換えたのはキハ40系列。キハ31よりも古い車両が置き換えました。本来ならば、まだ活躍もできた年代のキハ31、なぜ早期に置き換えられてしまったのでしょうか。
「節約車両」キハ31
その理由の一つとして、この車両はコストカットがはかられた車両であるという点が挙げられます。まず、台車やブレーキ装置などは旧型気動車からの流用品で、ブレーキ装置などはキハ58などと同様の物が使用されています。座席に関してもこちらは0系新幹線の転換クロスシートからの流用品となっているほか、扉はバスなどで使用される折り戸式が使用されるなど、製造費用を安価に抑える工夫がかなりされています。更にキハ31はトイレ設備が搭載されていません。トイレに関しては車体長が短い関係上、トイレを設置すると客室がかなり狭くなってしまい、乗客の多い路線でも活躍するキハ31には、後付け改造も難しい設計でした。このように、走行機器類は旧型車両からの流用品、トイレは取り付けられていないなど、かなりコストカットが重視された車両となっています。一方で、エンジン類は高性能なエンジンが取り付けられており、台車などに流用品が用いられているとはいえ、走行性能は良かったものと思われます。
しかし、2010年代後半になると本格的な置き換えの動きが進むこととなります。(それ以前にも1本だけくま川鉄道への譲渡→廃車の動きは発生していました)まず肥薩線では駅間が長いにも関わらずキハ31にトイレが設置されていないことの解消として、2016年に撤退。その後2017年には若松線などで819系による置き換えが行われたことにより、直方所属のキハ31の多くが廃車・熊本転属となります。この際、九州各地への転属は行われず、転属は熊本のみにとどまり、残りは廃車となりました。この理由はやはりトイレ未設置であるが故に駅間の長いローカル線に向いていないこと、台車などが古いこと、及び車体長が短いことなどが挙げられると思います。その後、キハ31は直方で日田彦山線や原田線の予備車として活躍する車両、熊本で三角線で活躍する車両のみとなります。しかし直方予備も2018年までで運用を終了。直方予備の2両は事業用車として竹下に残ることとなります。そして2019年には香椎線で置き換えられたキハ40系列の転属により、三角線、事業用車両方の運行が終了し、全廃となりました。
このように、キハ31はトイレがない、機器類が古いなどの理由で、駅間の長い路線に導入するには向いていない車両でした。キハ40系列と連結することで、そういった問題は解消されるでしょうが、やはり台車やブレーキ装置が古い点、更にメンテナンスも考慮すると、車両数の多いキハ40系列を転属させるほうが、得策であることは間違いないでしょう。
キハ31は国鉄末期の少ない予算の中、JR九州に残した気動車であり、この形式がJR九州にとって全く不要な存在であったなどと言う事はありません。キハ40よりは短命であるとは言えども30年以上は活躍しているので、十分JR九州も使い倒した車両であるでしょう。この車両は国鉄の設計不良が故に短命だったのではなく、もともと短命であると想定したうえで、当時の財政状況、また新造車両の緊急性などを踏まえた上で、このような安価な車両を国鉄は開発した。まさしくなるべくして短命となった形式であると思います。民営化直後のJR九州を支える存在として使命を果たしたと言えるのではないでしょうか。
最後までご覧いただきありがとうございました!